相続財産が分割されていない相続税の算出

Q.相続税の申告期限までに相続財産が分割されていなくても、その期限までに申告及び納税をする必要があるそうですが、この場合における相続税の算出は、いかにして行えばいいでしょうか?

A.相続税の申告期限(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日より10ヶ月を経過する日)までに相続財産の分割がなされていない場合には、それぞれの相続人等が民法に規定された相続分又は包括遺贈の割合に応じて財産の取得をしたものとして相続税の算出をし、申告と納税をします。

このように当初の申告に当たっては民法に規定された相続分又は包括遺贈の割合によって申告し、後に相続財産が分割されて、その分割に基づいて計算した税額が、当初申告した税額と違うことになったときには、現実に分割した財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることができます。
 現実の分割に基づいた税額が当初申告した税額より多額であるときには、修正申告をすることができます。逆に、現実の分割に基づいた税額が当初申告した税額より少額であるときには、分割されたことを知った日の翌日より4ヶ月以内に、更正の申告をすることができます。

なお、相続税の申告期限までに相続財産が未分割である場合には、当初の申告に際しては、配偶者の税額の軽減の特例や小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といった相続税の特例の適用を受けることはできません。
ただし、これらの相続税の特例に関しては、当初の申告の際に一定の書類の提出をしておくと、原則として相続税の申告期限より3年以内に分割されたときは、分割された日の翌日より4ヶ月以内に更正の請求をすることで、その適用を受けることが可能となります。

譲渡所得の申告での「資産を譲渡した日」とは

Q.譲渡所得の申告は原則として資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日より3月15日までに行う必要があるそうですが、資産を譲渡した日とは具体的にはどのような日のことをいうのでしょうか?

A.資産を譲渡した日とは、原則として売買等の譲渡契約を基に資産を買主等に引き渡した日をいいますが、売買契約等の効力発生日(契約の効力発生日とは一般的には契約締結日のことです)に譲渡があったものとして確定申告することも可能です。

また、「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」等の適用を受けることによって還付申告(所得税の還付を受けるための申告のことです)となる場合には、2月15日以前でも申告することが認められています。

ちなみに、申告手続きに関しては、土地、建物及び株式等の譲渡所得がある場合、確定申告書B、第三表(分離課税用)及び計算明細書等を作成し、他の所得と共に確定申告することとされています。

確定申告書を郵便や信書便で提出する場合の期日

Q.確定申告書を郵便又は信書便により税務署に提出する場合には、いつが提出日とされることになりますか?

A.この場合には、その郵便物又は信書便物の通信日付印で表示された日が提出日とみなされることになります。
 
 また、郵便・信書便以外により提出する場合には、税務署に確定申告書が到達した日が提出日とされます。
 なお、所得税の確定申告書の法定申告期限は例年3月15日ですが、同日が土曜日又は日曜日であるときには、その翌日が期限とみなされることになります。

ちなみに、税務上の申告書、申請書及び届出書は「信書」(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいいます)に当てはまります。そして、日本郵便株式会社、一般信書便事業者及び特定信書便事業者以外の業者は信書を送達してはならないと規定され、また、いかなる人も信書の送達を禁止されている業者に信書の送達を委託してはならないということも規定されています。
 ゆえに、確定申告書やその添付書類を税務署に送付する際には、荷物扱いで送付することはできず、郵便物(第一種郵便物)又は信書便物として送付しなければなりません。

所得税について更正請求が可能な期間

Q.所得税について更正の請求ができる期間は、いつまででしょうか?

A.所得税について更正の請求ができる期間は、法定申告期限より5年以内とされています。
 ただし、法定申告期限が平成23年12月1日以前である所得税については、更正の請求の請求期限は法定申告期限より1年となっています。
 しかし、法定申告期限が平成23年12月1日以前である所得税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、増額更正が可能である期間(3年)内に「更正の申出書」を提出すれば、調査でその内容が検討され、税金を納め過ぎていると認められた場合、減額の更正がなされます。

青色申告の手続き

Q.不動産所得、事業所得、又は山林所得のある人は所得税の青色申告ができるそうですが、新たに青色申告の申請をする場合、原則としてどのような手続きが必要でしょうか?

A.このような場合には、原則としてその年の3月15日までに、納税地の所轄税務署長に対して「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

また、新規開業し、その年の1月16日以降に新たに業務を開始したときには、業務開始の日より2ヶ月以内に、納税地の所轄税務署長に対して青色申告承認申請書を提出することとなります。

 そして、相続によって、白色申告をしていた被相続人の業務をその年の1月16日以降に承継したときには、業務を承継した日より2ヶ月以内に、納税地の所轄税務署長に対して青色申告承認申請書を提出する必要があります。

 相続によって、青色申告をしていた被相続人の業務を承継したときには、被相続人の死亡による準確定申告書の提出期限、すなわち相続の開始を知った日の翌日より4か月以内(ただし、その期限が青色申告の承認があったとみなされる日後に到来するのであれば、その日まで)に、納税地の所轄税務署長に対して青色申告承認申請書を提出しなければなりません。
 上記の青色申告の承認があったとみなされる日については、青色申告の承認を受けようとする年の12月31日(その年の11月1日以降に新たに業務を開始したときには、その年の翌年の2月15日)までに処分の通知がなければ、承認されたものとみなされることになっています。
したがって、被相続人が青色申告者であったときには、被相続人の死亡日が、その年の1月1日より8月31日までなら死亡日より4ヶ月以内に、その年の9月1日より10月31日までならその年の12月31日までに、その年の11月1日より12月31日までなら翌年の2月15日までに、青色申告承認申請書を提出することになります。

特殊な事情で国税の一度納付が不可能である場合

Q.事業の休廃業や災害といった特殊な事情の発生により国税を一度に納めることが不可能である場合に、納税の猶予を受けることができますか?

A.このような場合は、納税の猶予を受けることができます。この制度は、次のような原因で国税の納付が難しくなった場合に、申請に基づき税務署長の許可を受けて、1年以内で分割納付により納税することができるというものです。
1.事業を休止した又は廃止したこと。
2.事業につき、著しい損失を受けたこと。
3.財産につき、災害を受けた又は盗難にあったこと。
4.納税者又は家族等が病気にかかった又は負傷したこと。
5.法定申告期限より1年以上を経過してから、修正申告・更正等によって納めるべき税額が定まったこと。
 上記の場合において納税の猶予を受けるためには、一定の期日までに申請書の提出を行わなければなりません。
 また、納税の猶予を受けるには担保を提供しなければならないのが原則ですが、猶予が許可されれば猶予期間中の延滞税の全額又は半額が免除されることになります。

 ちなみに、滞納者の財産に対する差押えが既になされているときには、一度に納めるのが不可能な事情があるなら、差押財産の換価の猶予をすること等によって1年以内での分割納付を行うことが認められる場合があります。

なお、納税の猶予等に関しては、最寄りの税務署の徴収部門へのご相談をお勧めします。

無申告加算税の金額の算出

Q.所得税の確定申告を期限後に行ったり、所得金額の決定を受けたりした場合には、申告等により納付する税金以外に無申告加算税が課されるそうですが、無申告加算税の金額はいかにして算出することになるのですか?

A.納めるべき税額に対し、50万円までは15%の割合を乗じて算出した金額が、50万円を超過するなら超過部分は20%の割合を乗じて算出した金額が、各年分の無申告加算税とされるのが原則です。
 なお、税務署の調査を受ける前に自ら期限後申告を行ったときは、無申告加算税が軽減されて5%の割合を乗じて算出した金額となります。

 ちなみに、期限後申告であっても、次に掲げる要件全てに合致すれば、無申告加算税が課されないことになっています。
1.その期限後申告が、法定申告期限より2週間以内に自主的になされていること。
2.期限内申告を行う意思があったと認められる一定の場合に当てはまること。
 上記の一定の場合とは、次の(1)及び(2)の双方に当てはまる場合のことです。
(1)その期限後申告に係る納めるべき税額の全額を法定納期限内に納めていること。
(2)その期限後申告を提出した日の前日より起算して5年前までに、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告を行う意思があったと認められる場合における無申告加算税の不適用を受けていないこと。

延滞税が課されるケース

Q.一定の期限内に国税を納めければ、原則として法定納期限の翌日より納める日までの日数に応じて延滞税が課されるそうですが、延滞税が課されるのは例えばどのような場合でしょうか?

A.例えば次に掲げる場合に、延滞税が課されることになります。
1.申告等によって確定した税額を法定納期限までに完納しない場合。
2.期限後申告書又は修正申告書の提出を行い、納めるべき税額がある場合。
3.更正又は決定の処分を受け、納めるべき税額がある場合。
 上記のいずれの場合にも、法定納期限の翌日より納める日までの日数に応じた延滞税を納めなければなりません。

 なお、延滞税は、加算税等を対象として課されることはなく、本税のみに対して課されることになっています。

連結親法人の申告期限の延長

Q.連結子会社が多数あるために、申告期限までに連結確定申告書を提出できない常況にある連結親法人が、申告期限を延長してもらうことはできますか?

A.このような連結親法人は、最初に特例の適用を受けようとする連結事業年度終了の日の翌日から45日以内に申告期限の延長の特例の申請をすることで、確定申告書の提出期限の延長が認められることになっています。

 会計監査人の監査を受けなければならないこと等から決算が確定しないため、又は連結子会社が多数あること等により、申告期限までに連結確定申告書を提出できない常況にある連結親法人は、最初に特例の適用を受けようとする事業年度終了の日の翌日から45日以内に申告期限の延長の特例の申請をすることで、確定申告書の提出期限の延長が認められることになっています。

なお、提出方法については、申請書を1部(調査課所管法人は2部です)作成した上で、納税地の所轄税務署長に送付又は持参しなければなりません。
手数料は不要です。

障害が税務職員の誤った申告指導から生じた時

Q.税務職員の間違った申告指導を納税者が信頼して納めるべき税額を申告できなかった場合等において一定の要件を満たすときには、申告できなかった国税に係る延滞税が一定期間免除されるそうです。このような人為による納税の障害により申告できなかった国税の額がもし同時に納めるべき税額の一部であるなら、人為による納税の障害により申告できなかった国税の額はどのような額になるでしょうか?

A.人為による納税の障害により申告できなかった国税の額は、その額が同時に納めるべき税額の一部であるなら、その納めるべき税額のうち、その税額を算出する基礎とされる事実で人為による納税の障害に係るものだけに基づき期限後申告・修正申告等がなされたものとした場合におけるこれらの申告等により納めるべき税額となります。